第3話
高校を入学後、嫌な咳が長く続き病院に行ったところ病気が見つかった。
心臓が悪いらしく激しい運動などをすると息が苦しくなる発作を起こしてしまう。
これと言った治療法はないと言われ、苦い薬を飲みつつ今は自宅療養を強いられている。
だから高校での思い出は初日の自己紹介のみで、入退院を繰り返し学校には登校できずに日数ばかりが過ぎていく。
登校できるようになってもこのままでは進級も怪しく、留年してしまうのではないかと思う。
それでもこのまま登校すること無く高校生活が終わっていくよりは留年しても、日常の生活が取り戻せるなら悪くない。
『山木 小陽(やまき こはる)です。よろしくお願いします』
もう私の名前と顔を覚えているクラスメイトはいないかもしれない。
私自身も学校の風景すらもおぼろげで、クラスメイトなんてほぼ覚えていない。毎日ベッドから見える景色だけが思い出になり始めている。
時折、届いていた友人のメールも今では殆ど届かなくなった。高校に入って忙しく、私のことなどもう忘れてしまったのかと考えてしまう。
すっかり取り残されてしまった気がして、貴重な高校生活を送れずにこのままの日常が続くのかと思うと憂鬱で仕方がない。
枕に顔を埋めてやりきれない思いを静かにぶつけて流れそうになる涙を隠した。
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