第69話

午後7時半。


夕飯も済ませ、薬も飲み、優衣はベッドの上でボーっとしていた。


病室のドアがノックされ、優衣が返事をすると看護士がドアを開け、顔を覗かせる。


「今日の夜勤の紺野です。

何かあったら呼んで下さいね」


「はい」


優衣が軽く頭を下げると紺野は微笑み、ドアを閉めた。


時間が気になった。


7時半。


優衣は1枚、カーディガンを羽織り、買ったばかりの腕時計をはめた。


病室の電気はつけたまま、廊下を歩いて行く。


「ちょっと1階に行って来ます」


ナースセンターにいる看護士に声を掛ける。


紺野はまだナースセンターに戻っていなかった。

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