第68話

それから2時間くらい萌と談笑し、はしゃいだ。


萌と一緒にいると病院にいると言う事も病気の事も忘れられた。


萌の存在の大きさを改めて感じられた。


「じゃあ、バイトの時間だから、そろそろ行くね」


「あっ、日曜日は朝からバイトじゃなかった?」


優衣は思い出したかのように慌てて時計を見る。


もうすぐ午後4時だ。


「今日はいいの。

今日はバイトの時間、ずらしてもらったんだ」


萌はそう言いながら椅子を壁際に片付けた。


「私のためにありがとね」

萌は頷き、「じゃあ、また来るね。皆にも優衣の様子、話しておくから」と優衣の肩を叩く。


廊下まで出て、萌を見送った。


病室の窓から病院の出入り口を見下ろす。


少し経ってから萌が出て来た。


萌がこっちを見上げ、手を振る。


「ありがとう。萌・・・」


萌が見えなくなるまで優衣は見送った。


海人に会えない日曜日。


萌のおかげで楽しく過ごせた。


萌はかけがえのない親友だ。

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