第59話

「ごめん!怖かった?」


そんな優衣に、男の子の方が先に声を掛けた。


「ごめんなさい。

・・・私の方こそ、驚かせてしまいましたか?

1人の時間・・・邪魔しちゃって、ごめんなさい」


優衣はジュースの缶を強く握り締める。


「嫌そうだったら接してあげない方がいい」と言った本田の言葉が頭に浮かぶ。


「僕なら大丈夫だよ。・・・君も・・・入院してるの?」


男の子に聞かれ、優衣は小さく頷いた。


「そうなんだ」

男の子が立ち上がり、近付いて来る。


優衣は少しだけ後ろに下がり、男の子の動きを目で追った。


男の子は優衣の横を通り、優衣がジュースを買った自動販売機でコーヒーを買い、そのまま近くの椅子に座った。


「君もって事は・・・あなたも入院してるの?」

優衣は立ったまま男の子を見た。


男の子は頷き、コーヒーの缶を開けている。


「私も座っていい?」

男の子は1つ奥の椅子に移ってくれた。


「ありがとう」

少し寡黙な雰囲気に、優衣は引き込まれそうになってしまう。

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