第47話

「いくつに見える?」


「私より・・・年下に見える」


「何でだよ!」

海人が優衣のおでこを軽く指で押す。


優衣は笑いながら「ごめん」とバスの中の海人を思い出し、考えた。


優衣が高校に通う時にはすでにあのバスに乗っていた。


大学を卒業してからカウンセラーになったとしたら、少なくとも24歳は過ぎているのではないか。


「僕、今年28になるよ。だから・・・今はまだ27歳」


「そうなんだ。若く見えるね」


「童顔だし、子供っぽく見える?」


「うん、砂時計の話をしてる時、私と同じくらいに見えた」


「じゃあ、16歳?」


「うん。高校2年生」


「優衣ちゃん、誕生日はいつだっけ?」


優衣は現実に戻された。


「資料に書いてない?」


「あっ、ごめん。見たんだけど忘れちゃって。

ちゃんと覚えておかなきゃ駄目だよね。

次からはちゃんと覚えるから」


海人はそう言いながらバッグの中からファイルを取り出そうとした。


「いいよ!教えてあげる。

私の誕生日は11月だよ。

まだまだ先・・・。

私、迎えられるかな?誕生日・・・」


今日は6月25日。


優衣は誕生日を迎えられない現実に気付いてしまった。

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