第44話

次の日(金曜日)

午後3時。


優衣がナースコールを押す。


「高村先生ですね!今、連絡します」


椎名に言われ、優衣は髪をツインテールに結び、海人が入って来るのを待った。


10分後くらいだろう。


海人が優衣の病室のドアを叩く。


海人は優衣の姿を見るなり、「おー!今日は髪型が違うね」と髪型の変化に気付いた。


「うん。昨日、売店でゴムを買ったの。それで結んでみたんだ。

どう?いつもの方がいい?」


海人は少し悩んだ表情を浮かべた後、「どっちも可愛い」とベタな台詞を返して来た。


「どっちでもいいって事?」


優衣がすねて見せると、海人は慌てて「違うよ!本当にどっちも可愛いんだってば!」と優衣に駆け寄る。


優衣はそんな海人の姿に吹き出してしまう。


「もう!大人をからかうんじゃない!」

これもベタな台詞で、優衣は更に笑ってしまう。


そんな優衣の姿に、海人も笑い出す。


その笑い声が、今日も廊下に響いている。


その笑い声は、小原の心も軽くさせた。

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