第43話

2人の笑い声は病室のドアを越え、廊下にまで響いて聞こえた。


廊下を歩く小原の耳にもその声が届く。


「高村先生、楽しそうですね」

小原の横を歩く看護士の早坂が言う。


「そうですね。このまま桜さんに頑張ってもらわないと・・・」


「そうですね。少しでも長く・・・」


小原と早坂の耳に、楽しそうな海人の笑い声が届き、2人は顔を見合わせた。


小原には、海人に乗り越えて欲しい壁がある。


優衣がその壁を壊してくれれば・・・そんな気持ちで2人の笑い声を聞いている。


優衣に小原の願いが託される。


これが最後になるように・・・。

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