第42話
「この仕事をするようになって、この職場に来てから本当に人との係わりの大切さを感じるようになったんだ。
1秒が本当に大切に感じるようになった。
この職場に来てすぐの頃はどうしたらいいのか分からなくて、先輩のカウンセラーの先生に相談したり、話を聞いてもらったりしてた。
少しの間、患者さんと接するのが怖くなったけど、今はもう大丈夫。
平気ではないけど、僕が強くならないと患者さんを助ける事なんて出来ないって思えるようになったんだ。
先輩カウンセラーに感謝してる。
僕の事、強くしてくれたから」
海人の言葉、1つ1つが重く伝わる。
「私の病気の事、小原先生から聞いたんだよね?」
「うん。聞いたよ。
優衣ちゃんにとって、大切な事の1つだから」
「私の残りの時間も・・・?」
「うん。ちゃんと聞いた」
「4ヶ月・・・4ヶ月の間、先生、側にいてくれる?」
「カウンセリングの時間しか深くは接する事は出来ないけど、カウンセリングの1時間の間は僕は優衣ちゃんの専属だから、側にいてあげられる。
1時間の間に、僕が出来る事だったら聞くから。
ワガママとか思わずに思った事は何だって言って。
優衣ちゃんにワガママなんて言葉、もう与えないから。
僕に出来る事なら何でも」
海人が目の前にいてくれる。
それだけで良い。
あの日のように見つめられるだけでいいんだよ。
優衣は微笑み「私の側にいてね」と海人を見た。
涙を堪える瞳に海人が映っている。
奇跡のような時間、残酷な運命。
優衣も海人も全てを受け入れる覚悟をした。
「ねぇ、海人先生って呼んでもいい?」
涙を拭い、優衣が明るい声で聞く。
「もちろん!何だったら海人でもいいよ」
優衣は笑い、「もうちょっとしたら呼び捨てにするかも」とからかった。
「じゃあ、海人って呼ばれたら、僕も優衣って呼んじゃおう!」
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