第30話

「改めて、今日から桜さんの担当になります、高村です」


優衣は真っ直ぐにカイトを見れず、下を向いたまま「はい」と頷いた。


そんな優衣の姿に、「僕じゃ…嫌かな?嫌だったら他の先生にしてもらうよ」とカイトが言う。


優衣は慌てて頭を上げ、首を大きく横に振った。


「いいです!」


そんな優衣の姿にカイトが笑う。


自分の目の前で¨あの人¨が笑っている。


まためまいに襲われそうになる。


グッと我慢をし、カイトを見る。


やっぱり¨あの人¨だ。


優衣の頬が少し色づいた。

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