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第24話

「明日から頼んだよ」

小原がグラスの中の氷を指で回す。


「今回もまた…同じように考えてるの?」


その質問に小原はため息をつく。


「まぁ、星也がどう考えててもいいよ。どっちでもいい。

どっちにしても僕は…星也、僕はずっと変わらないよ」


その声に、小原は返事をしない。


「星也だって、同じでしょ?

ずっと変わらないじゃないか」


「そうだけど…お前は前に進まないといけないんだよ。

俺とは違うんだから」


「星也…ごめん…」


グラスの中の氷が溶け、カランと音を立てる。


透き通った音。


その音の中、2人の背中が並んでいる。


小原は変わって欲しかった。


優衣に変えて欲しいと願いを託す。


これが最後になるように…。

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