第22話
病室に戻り、ちょっとしてから小原と看護士が入って来た。
「挨拶が遅くなったけど、桜さんの担当をさせて頂きます。
看護士の椎名(シイナ)です。何でも言って下さいね」
優衣も頭を下げ、「よろしくお願いします」と挨拶をする。
これから、この2人が優衣の担当となるのだ。
「それで…どうかしたんですか?」
小原の姿に優衣が聞く。
「勘がいいですね。実は、桜さんにもう1つ、お話があります。
今、いいですか?」
優衣は不安な表情を浮かべ、頷いた。
「これから入院をし、治療をして行く中で、いろいろな不安やストレスが桜さんを襲うと思います。
体への不安はもちろん、心の不安の方が大きくなると思います」
優衣はうつむき、小原の声に耳を傾ける。
「体の不安は僕が担当しますが 、心の不安は僕が担当する事は出来ません。
なので、その不安を少しでも話せる相手が必要になると思うんです。
今は必要なくても、この先、いた方が絶対にいいと思います。
心の不安は体の不安に繋がります。
ほんの少しでも話せる相手がいたら、精神的にもいいと僕は確信しています。
なので、桜さんに専門のカウンセラーを用意しました。
今日は顔を出せないのですが、明日、紹介しようと思っています。
カウンセリングの内容や方針は明日、そのカウンセラーと話し合ってもらえばいいのですが…」
小原は優衣の顔色を伺いつつ、説明を続けて行く。
「桜さんがカウンセリングをしたいと思った時にそのカウンセラーと会うようにすればいいと、今の段階では思っています。
桜さんの話たい日にだけ呼べばいいと。
1人で悩まず、専門家の意見も取り入れながら精神面をカバーしてもらいたくて。
明日、そのカウンセラーを紹介します。まずは会って下さい。
それから、今日の夕飯からお薬が処方されますので、今日の夕食後からお薬を飲んで下さい。
私からの話は以上ですか…いいですか?」
優衣は頷くしかなかった。
「良かった」
小原は微笑み、「じゃあ、後は頼んだよ」と椎名を残し病室を出て行く。
それから優衣は、椎名に渡された薬の同意書にサインをし、椎名と少しだけ話をした。
これから、優衣はこの場所で生活をして行く。
ここが優衣の場所になって行くのだ。
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