第15話

優衣は授業が終わってすぐ、小原に連絡を入れた。


少しでも早く小原に連絡を入れ、ただただ緊張するだけの時間をどうにかしたかった。


小原に連絡を入れると、今からバイトの説明をしてくれると場所を教えてくれた。


優衣は小原に言われた通り、その場所へと向かう。


もしかしたらカイトがいるかも知れないと言う、小さな期待を持って。


その場所にカイトはいなかったけれど、カイトと縁のある小原が目の前にいる事に感謝をした。


初日と言う事もあり、この日はバイトの内容の説明だけを受け、帰る事となった。


小原の説明は分かりやすく、バイトが初めての優衣に親切に教えてくれた。


明日から本格的にバイトが始まる。


この日の夜、優衣は明日から始まるバイトに期待と不安を感じ、なかなか眠れずにいた。


明日からカイトへの道が開かれるのかと思うと、だんだん不安の方が大きくなる。


見ていられるだけで良かった存在の人と近付こうととしている自分が怖かった。


この先、どうなってしまうのか、今の優衣には想像も出来なかった。


想像もしていなかった。


まさか、あんな運命になってしまうなんて…。


そして、このバイトをきっかけに、優衣とカイトの物語の幕が開こうとしていた。


優衣の命を懸けた運命が今、幕を開けようとしている。


優衣はカイトに命懸けで恋をする。


その幕を今、優衣が自らの手で開けようとしている。

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