第14話

授業中も、昼休みも、真っ直ぐに合ったカイトの目が頭を占拠する。


「ねぇ!聞いてるの?!」

萌に話しかけられても優衣はまるで無視していた。


怒った萌が優衣の頬をつねった。


その痛みで現実に引き戻される。


「何するの!」


「優衣が聞いてないからでしょ!」

萌が本気で怒っている。


「あぁ、ごめん。

バイトする事になったから、つい考え込んじゃって」


優衣の言葉に、萌が嬉しそうに飛びついて来た。


萌を抱きかかえ「ありがとう!」と優衣はポケットに手を入れた。


ポケットには萌からもらったお守りが入っている。


「これのおかげだよ」


萌は嬉しそうにしながらも首を横に振り、「優衣の力だよ!これからが大事だよ。クビにならないように頑張ってね」と優衣の頭を撫で、応援してくれた。


優衣は大きく頷き「これ、まだまだお世話になるね」とお守りをかざして見た。


萌と並び、お守りを見上げる。

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