第7話
この数日で、いつもと違うあの人…カイトを見て、知ってしまった。
ボーっと小さくなって行くバスを見送る。
明日は土曜日。
カイトには会えない休日がやって来る。
けれど、今の優衣には少し安心できる休日になりそうだ。
いつもと違うカイトを見てしまった今、ほんの少し時間を置きたかった。
「おはよう!」
萌に言われて我に帰るのも何度目になるのだろう。
「おはよう!行こうか」
優衣は明るく返事をし、学校へと歩き出す。
それからいつもと変わらない毎日が続いた。
あれから新しいカイトの姿を見る事はない。
けれど、たまにカイトの横にあの男の人が座るようになった。
カイトの横に座り、カイトと親しげに話をしながらその男の人はバスに揺られる。
『新年度になって、新しく入った職場の人と仲良くなったのかな?』
優衣は勝手に解釈し、いつものように窓の外とカイトを交互に見る。
男の人が新しく追加されただけで、特に変化はなかった。
優衣はむしろその男の人の存在に感謝している。
あの人が¨カイト¨だと知れたのも、たまにカイトの声や笑った顔が見れるのも、この男の人がいてくれるからだ。
優衣は楽しそうに笑っているカイトの後ろ姿を今日も見つめている。
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