2.¨カイト¨

第3話

あの人の事を思い出しながら、1日を過ごして行く。


苦手な数学の授業も、あの人の事を考えていれば苦ではない。


そして今日も、下校時間になり、優衣はあの人のいないバスに乗り、帰って行く。


「だだいま~」と言いながら、誰もいない家の中へと帰って行く。


洗濯物はいつもエプロン、男性用下着を一緒に干している。


1人暮らしだと思われないように、いつも家族の分の洗濯物をわざわざ用意し、干して学校に行くのだ。


そのおかげもあってか、空き巣に入られた事はない。


近くの1人暮らしの女性の家には入られたけれど、優衣の家は大丈夫だった。

作戦成功だと思えた瞬間だった。


それから優衣は何の躊躇いもなく、3人分の洗濯物を干すようになった。


夕食も簡単なものを作って食べ、お風呂に入り、テレビを見た後、少しだけ勉強をしてから寝る。


それが優衣の毎日だ。


時々、友達の萌(モエ)からメールが来る。


彼氏自慢、おのろけのメールが。


萌は放課後、バイトに行く。

バイトが休みの日はデートに行くため、あまりメールは来ないけど。


「明日も会えるかな?」

優衣はあの人の事を考えながら布団に入り、電気を切った。

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