2.¨カイト¨
第3話
あの人の事を思い出しながら、1日を過ごして行く。
苦手な数学の授業も、あの人の事を考えていれば苦ではない。
そして今日も、下校時間になり、優衣はあの人のいないバスに乗り、帰って行く。
「だだいま~」と言いながら、誰もいない家の中へと帰って行く。
洗濯物はいつもエプロン、男性用下着を一緒に干している。
1人暮らしだと思われないように、いつも家族の分の洗濯物をわざわざ用意し、干して学校に行くのだ。
そのおかげもあってか、空き巣に入られた事はない。
近くの1人暮らしの女性の家には入られたけれど、優衣の家は大丈夫だった。
作戦成功だと思えた瞬間だった。
それから優衣は何の躊躇いもなく、3人分の洗濯物を干すようになった。
夕食も簡単なものを作って食べ、お風呂に入り、テレビを見た後、少しだけ勉強をしてから寝る。
それが優衣の毎日だ。
時々、友達の萌(モエ)からメールが来る。
彼氏自慢、おのろけのメールが。
萌は放課後、バイトに行く。
バイトが休みの日はデートに行くため、あまりメールは来ないけど。
「明日も会えるかな?」
優衣はあの人の事を考えながら布団に入り、電気を切った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます