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第6話
小学校から中学生になる頃には、体も心もだいぶ成長して彼への気持ちも憧れから別のものへと変わっていた。
でも、自分の気持ちを素直に伝えたら彼がまた消えていってしまわないだろうか?
成長して世界が広がり色々な感情を覚えた。喜ばしいことでもあるが、知ったぶん私を臆病にもさせる。
「消える。困る。喜ぶ? はぁ……」
ベッドに座って夜空を見ながら何度も溜息をつく。膝の上に彼へのプレゼントを置いて思い悩んでいた。
こんな風に彼を考えることは汚れたことではないだろうか?
たぶん子供のように純粋でなければ彼を見ることが出来ない。
でもいつまでも子供でなんていられないのが現実。
今年は彼に会う前からぐずぐずと鼻を啜っていると窓から冷たい風が吹き込む。
「メリークリスマスって……なんで泣いてるの?」
「よ、よかっだ! メリーグリスます!」
はっきりと見える彼に安堵してますます涙が溢れる。彼は動じることなく溜息をついて私の隣に座る。
「本当に生まれた時から泣いてるよね? 泣き虫ナナちゃん」
「違うよ! クリスマスだけだもんこんなに泣いちゃうの」
「プレゼントもらって喜ぶ子ばっかりだって聞いてたんだけどな……変な子に当たったもんだ」
そういって彼はクスクス笑ってプレゼントの包みを私に差し出したまま凍りつく。
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