第4話

彼を疑うことなど考えもしなかった私も年齢と共に、彼をサンタという単純なもので片づけられなくなっていった。




 彼はどこから来るのか? 彼は何者なのか?




 クリスマスに赤い服を着て部屋に忍び込んでプレゼントをくれる若い男。





「小さかったとはいえ、窓から入ってきた若い男について行くって……今までよく誘拐されなかったな」





 全部がサンタだからで納得できなくなったその年のクリスマス。



 ベッドで寝たふりをして彼が来るのを待っていた。





「メリークリスマス」





 毎年のことに彼も私が起きているのを承知しているように、プレゼントを片手に挨拶をする。



 私は飛び起きて彼を見た。初めて会った時からなにも変わらない。





「サンタさんは何者なの? どこから来たの?」



「何者? えっとサンタですけど……空の裏側から来たんだよ」





 急な質問に驚きながら答えてくれたが、頷くには不十分だった。だって、空の裏側もよくわからない。



 彼を凝視して空を眺めてみても、やっぱり何もわからない。





「サンタは宇宙人なの妖怪なの? 空の裏側からどうやってここに来るの?」



「宇宙人? 妖怪? どれかな……俺にも良くわからないや。

空の裏側からはソリに乗って、あそこに光ってる13星45番を通って来るんだよ」





 笑いながら空の星を指さすが、いっぱいある星のどれが彼の言ってるものか判断できず首を傾げる。




 ――子供だと思って適当なことを言ってるのかもしれない。

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