*祥也の出現-壊れ始める現実-*
第47話
結希が幸の元へ来てから4日が過ぎ、結希は生活のペースを掴み始めて来た。
この日、祥也が2人の小屋のドアをノックするまでは。
それは、いつものように食事を済ませ、2人で笑い合ってる時だった。
¨トントントン¨と2人の小屋のドアをノックする音が聞こえて来た。
「誰だろう…。」
咄嗟(とっさ)に結希の背中に身を隠す幸。
「どうしよう…」と結希はもう1つの小屋に幸を連れて行く。
その間も、ノックの音は小屋中に響き渡っている。
「幸はここにいて。大丈夫。幸の事は、絶対に誰にも喋ったりしないから。」
結希の強い口調に「わかった。」と幸は小さく頷き、小屋に身を潜めた。
ノックの音が鳴り止まないドアの前に立ち、大きく息を吸い込むと、「今開けますから!」と結希は思い切ってドアを開けた。
そこには、祥也が立っていた。
「祥也!どうして!」と結希が言うのと同時に、「結希!」と祥也は泣きそうになるのを堪え、結希を咎(とが)め、その手を掴んだ。
そんな祥也を「離して!」と結希は突き放す。
「お前…何でここにいるんだよ…どうして…こんな所に…」
「別にいいでしょ?祥也やこそ、何でここが分かったの?」
「お前がいなくなって、管理人に頼んで部屋に入れてもらった。そしたら、こんな物を見付けたんだ。それで…行きそうな場所を手当たり次第に探したんだ。」
祥也が結希に、あの日、家に落として行った幸からの手紙を突き付ける。
「これ…」
結希が握り締める手紙を強引に取り上げ、「何でこんな事…」と祥也が歎く。
「帰って…。」
そう言うと結希は祥也の体を押し出し、ドアを閉めようとする。
そのドアを手で止め、「帰るなら結希も一緒だ!」と祥也は結希の手を掴んだ。
「一緒に?私は帰らない。ここで暮らして行くの。もう私の事は放っておいて。もう戻らない!帰って。もうここには来ないで!」
結希は幸の存在を悟られないよう、必死になり祥也に帰るように言う。
けれど、そんなのを祥也が受け入れるはずもない。
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