第44話

「僕の事、許してくれる?」

不安そうに幸は結希の体を離し、まだボロボロの結希に聞く。

「そんな事、もうどうでもいいの。だからお願い。私の前からいなくならないで。」

「ごめん。もう二度と、結希から離れない。約束する。もうずっと側にいるから。」

その言葉に、今度は結希が不安そうに幸を見る。

「本当に?」

「うん。本当に。約束する。」

「絶対に?」

「絶対に。もう結希から離れないって約束する。」

「幸…本…」

まだ不安な結希の口唇に幸は口唇を重ね、結希の不安を遮(さえぎ)った。

幸のぬくもりを感じ、結希の目から大粒の涙が溢れ出す。

幸の頬を結希の頬が濡らし、幸の涙と重なり大きな粒に変わる。


「もうずっと一緒だよ。」と幸は結希の目に誓う。

その言葉にやっと微笑み、結希は頷いた。


2人だけの時間が訪れたこの瞬間、破壊へのカウントダウンが始まった。


全てが壊れてしまう事を、結希だけが気付いていなかった…。


何時間も掛けて幸に逢いに来た結希は、幸に逢えた安心感からか、幸の腕の中に包まれたまま眠ってしまった。

自分の腕の中で安心して眠っている結希をしっかり抱き留め、幸も目を閉じる。


『もうどこにも行かない。ずっと一緒だよ。』

その一言で今の2人は支えられ、強く結ばれている。

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