第19話
幸が付き合っていると発表した林麗香は、今から3年前に雑誌のモデル募集の中から選出され、読者投票でグランプリの座を獲得し、雑誌のモデルとして活動を始めるようになった。
それから少しずつ読者の支持や人気も高くなり、1年前に本格的に芸能事務所に所属するなどをし、活躍の場を広めて行く。
そして今、幸と将来を考えた付き合いをしていると言うのだ。
次の日の新聞の一面は言うまでもない。
教室のドアを開けた瞬間、晴比の泣き顔を見たのも、言うまでもない。
「結希~。どうしよう。」と晴比が新聞の一面を手に、結希に駆け寄る。
何も言わずに黙って席に座る結希の前に、「この子だって~。かわいいもんね~。あ~あ。どうしよう。ライブ行く気なくなっちゃうよ~。」と晴比は麗香が表紙を飾り笑っている雑誌を見せ、泣いている。
「じゃあ、行くのやめたら?」と言う結希に「結希はどうするの?チケットの申し込み、来週からだよ。申し込む?どうする?一緒の日にする?やっぱやめる?でも、初のライブの日だし~。結希はどうする?ねぇ!」と晴比は質問攻めに幸のライブの事を聞いて来る。
まるで「幸への気持ちはどうするの?」と聞いてるかのように結希には思えた。
「結希、どうするの?」
晴比が強く言い、結希の肩を揺らした。
「うるさいな!どうにもならないでしょ!行きたくないならやめれば?いちいち人に決めてもらう事なの?自分で決めなよ!」
思わず怒鳴ってしまった。
机の上から雑誌が落ち、その机に、晴比の目線が落ちて行く。
「晴比…ごめん。つい…本当ごめん。本当…許して…。」
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