第6話

次の日も、悪魔は不適な笑みを浮かべ、結希に忍び寄って来る。


「今日さ~、カラオケ遊びに行こうと思ってんだけど、お小遣いが無くってさ~。

カラオケ。援助してくんない?」


いつもならこれ以上の被害を受けない為、無意味な援助をして来た。


だが、今日の結希は違った。


不適な笑みを浮かべている悪魔を睨(にら)みつけている。


「逆らうとどうなるか分かってんだろ。

もしかして、そっちのがいいの?」


悪魔から笑みが消えると、結希は鞄を手に立ち上がった。


「いつまでやってんの?

何とかの一つ覚えか何か知らないけど、もう言いなりにはならない!。

もうその必要ないんだから。」


そう言い放ち、結希は教室を出て行った。


結希の中から《恐怖》の言葉が消えた瞬間だ。


《獲物》はもういない。


もう、怖くなかった。

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