第17話
「すべて僕に委ねればいい……絵里……」
肌蹴た胸元から手を滑り込ませ、既にふれ合いそうな唇を重ねるのにクズハが頭の角度を深くする。
絵里に抱きかかえられたまま、ポカンとしていた北木が目の前に垂れ下がったネクタイに飛びついた。
「ひ、人の体で何をする気だ!!」
ネクタイにしがみ付き尻尾をクズハと絵里の顔の間に滑り込ませて叫んだ。
呪縛から解けたように絵里はクズハから離れブラウスの胸元を掻き合わせる。
クズハはネクタイにしがみ付く北木を払いのけ、床に転がった北木を睨みつける。
「いいとこだったのになによ、邪魔しないでよね。あんただって絵里の体に興味あったでしょ?」
「ふっ、ふざけるな! 何を言ってるんだ興味などない!」
「だって……結婚式を逃げ出して結糸様の顔にまで泥を塗ったのよ。どの面下げて戻れっていうのよ! この人で無のヘタレ!」
言いたいことだけ言うと、クズハはその場に崩れ落ちるように顔を手で覆ってまたオイオイと泣き出した。
――今度は騙されない。勝手な女狐め!
憤慨する北木の後ろでブラウスのボタンを掛け直し、息を整えた絵里が泣き崩れているクズハに声を掛ける。
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