第5話
(一里塚耕助狐)
三宅の入口の傍の一里塚の耕助狐は朝は朝星、夜は夜星を仰ぎながら大和川の河川敷に三鍬を担いで熱心に畑を耕していた。
しかし、そこは狐の悲しさ時々前日に耕した畑を忘れてしまい翌日、別の畑を耕していた。
村人は惨いことよ、これ程一生懸命働いているのにと同情して弁当の半分を施す者や芋の蔓を土に挿しとけや秋に美味しい芋になると投げ与える者。
耕助の畑の大根が立派だったので引いてきてやったと投げては耕助の世話をやいていた。
耕助は村人に出会うと何度も頭を下げて見送った。
ある日、日照りが続き稲は実をつける事もなく頭を下げていたが耕助だけは大和川の干しあがった白い石をかき分け掘り下げ、わずかに流れる水場までたどり着き水桶に溜めて枯れてしおれた野菜にかけた。
その為、耕助の畑だけは実り良く狐でさえこのようにと恥ずかしくなった村人が大和川に溝を掘り畑に水を撒いた。
その為、その年松原は飢饉を逃れる事ができた。
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