第6話 そして再び、四月一日
あかりと出会って三度目の四月一日。
聡一は去年と同じように、二人で食事をした
去年の今日。
夕食をタベルナで摂り、そして映画を観た。
その帰りに、楽しそうに笑うあかりに、花束を渡した。
四月一日が、あかりにとって少しでも良いものになると良い。そう思って。
そして今年も、2人はタベルナへやって来た。
「いらっしゃいませ〜」
明るい店主の声がする。
「四月一日は入社式があったりするからなのかな。大きい店にお客さん流れてるみたいでウチは『閑古鳥』が鳴きまくりなんだよね〜。」
店主はそんな事を口にした。
「だから席も選び放題。お好きな席にどうぞ〜」
接客する仕事が楽しくて仕方がないと言わんばかりの様子の店主は、喜びが全面に出た笑顔を見せた。
2人はテーブル席に座った。
何度か訪れた事のある店だが、毎回メニューが違う。
仕入れの具合で決めているのか、手書きの一枚の紙にメニューが書かれている。
「決まったら呼んでくださいね」
そう言うと、店主はカウンター内へ戻って行った。
◇◇◇◇◇
その後、タベルナでの食事を終え、映画を鑑賞。
ベイサイドエリアの店で、二人で飲みながら映画の感想を話す。
映画は、男女の友情が次第に恋愛に発展していく物語だった。
二人は、その映画に僅かながらも勇気を貰った。
これからの自分達の未来へ向かう為の『勇気』。
今日は『四月一日』。
だけどこの人となら、きっと素敵な未来を迎えることが出来る。
そう信じた。
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