第7話 得意なシール貼り
事業所での仕事の中で、僕が一番得意で、そして好きなのが「シール貼り」だ。初めてシール貼りを任された時、これが自分に合っていると感じた瞬間を今でも鮮明に覚えている。単純な作業に見えるかもしれないけれど、シールを正確に、そして美しく貼るには集中力が必要だ。
シール貼りの作業は、商品やグッズにラベルやステッカーを貼ることから始まる。シールの位置が少しでもズレると見栄えが悪くなり、製品としての完成度が下がってしまう。だからこそ、集中して一枚一枚を丁寧に貼ることが大切になる。
ある日、シール貼りの大きな依頼が入った。数百枚のシールを限られた時間の中で貼らなければならず、少しプレッシャーを感じた。けれど、僕は「得意なことだからこそ、自分のペースでやろう」と心に決め、焦らずに作業を始めた。
最初のうちは慎重に、シールの角度や位置を確認しながら、一つずつ進めていった。慣れてくると、自然と手の動きが早くなり、リズムに乗って作業が進んだ。集中していると時間が経つのも早く感じる。周りの音もほとんど聞こえなくなり、自分の世界に没頭していった。
途中で職員さんが僕のところに来て、「いいペースだね、みっちゃん」と声をかけてくれた。その言葉に少しほっとしながらも、最後まで気を抜かずにシールを貼り続けた。すべてのシールを貼り終えたとき、心の中に小さな達成感が広がった。商品が綺麗に仕上がり、整然と並んだシールの姿を見て、なんとも言えない満足感を覚えた。
シール貼りが得意な理由は、その「一人で完結できる」点にあると思う。他の仕事では、周囲との連携やタイミングが重要になることが多いけれど、シール貼りは自分一人で集中して進められる作業だ。自分のペースで、一枚一枚丁寧に仕上げていく。その過程が、僕にはとても心地よい。
もちろん、すべてがうまくいくわけではない。時にはシールが斜めになってしまったり、途中で手が震えてミスをしてしまうこともある。そんな時は落ち込むこともあるけれど、職員さんや周りの利用者さんが「大丈夫だよ、次はきっと上手くいくよ」と励ましてくれる。その言葉に救われて、また前向きに取り組むことができるのだ。
シール貼りのように、一つの作業に集中できる仕事は、僕にとって心を落ち着ける時間でもある。仕事をしている間は、他のことを考えずに済むし、終わった時には達成感を得ることができる。その積み重ねが、僕の日々の充実感に繋がっている。
これからも、シール貼りをはじめ、自分に合った仕事を一つずつ大切にしながら、少しずつ成長していきたいと思う。得意なことを伸ばすことも大切だし、苦手なことにも少しずつ挑戦しながら、自分なりのペースで進んでいこうと改めて思った一日だった。
(第7話 終)
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