第2話 4時間という挑戦

9月30日から、僕の仕事の時間が2時間から4時間に延びた。これまで午後からの通所だったのが、午前から通うようになり、生活リズムが大きく変わった。正直、不安もあった。2時間の仕事ですら体力的に厳しい時があったのに、4時間も頑張れるだろうか?


初めての4時間勤務の日、僕は少し緊張しながら事業所に向かった。朝の光が差し込む通勤道はいつもよりも静かで、まるで新しい世界に一歩踏み出すような感覚だった。事業所に着くと、職員の方が「おはよう、今日は4時間頑張ろうね」と優しく声をかけてくれた。その言葉に少しホッとし、なんとかやってみようという気持ちが湧いてきた。


午前の仕事は、葉書の成型だった。葉書の角を綺麗に折り、指定のサイズに切り揃える作業だ。集中力が必要で、少しでも気を抜くと失敗してしまう。初めのうちは、いつもより手元がぎこちなく、失敗することも多かった。でも、次第にコツを掴み、少しずつスムーズに手が動くようになった。


お昼休憩の時間が近づく頃、体がだんだんと疲れてきたのを感じた。慣れない長時間の作業に、集中力が途切れそうになる。そんな時、職員の方が「無理せず、自分のペースでやって大丈夫だからね」と声をかけてくれた。その言葉に救われ、焦らずに作業を続けることができた。


昼食は、事業所で毎回変わる定食だ。今日のメニューは、唐揚げ定食。柔らかい唐揚げに添えられたキャベツの千切り、温かいご飯と味噌汁が、疲れた体に染み渡った。僕にとって、この昼食の時間は一日の中でも特に楽しみなひとときだ。みんなで談笑しながら食べる食事は、家庭的で温かい気持ちになる。


午後の仕事は、弁当箱の組み立て。シール貼りとは違い、力加減や手の動かし方に慣れが必要な作業だ。弁当箱のパーツを組み合わせるときに、手が震えてしまい、何度も失敗した。でも、職員の方にアドバイスをもらいながら、少しずつ感覚を掴んでいった。


4時間が経ち、全ての仕事が終わったとき、僕は達成感とともに心地よい疲労感を感じた。「今日はよく頑張ったね」と職員の方が声をかけてくれたとき、何とも言えない充実感が胸に広がった。


確かに4時間の仕事は体力的にも精神的にも負担がかかる。でも、少しずつ慣れていければ、自分の成長にも繋がるはずだ。焦らず、自分のペースで続けていきたい。そして、どんな仕事でも、まずは挑戦してみることの大切さを実感した一日だった。


(第2話 終)

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