第12話
「シンデレラってカクテルよ。勿論ノンアルコールのね」
「……シンデレラ」
「誰だって、一瞬でもイヤなことを忘れて酔いしれる事が出来るのよ。そんな意味があるって聞いたわ。ユータロも、魔法がかかるといいのにね。ふふふ」
リカは赤い唇をきゅっとあげた。
「もう、魔法にかかってるかもしれないよ」
「……上等な口説き文句ね。そういうのは綺麗な女にいうものよ」
「そう? だって、リカさんは綺麗だよ」
「……ふふ。眼鏡を交換したほうがいいわ、ちゃんと見えてないんじゃない?」
「さっきは、節穴じゃないって言っただろ」
「そうだったかしら?」
酔いはだいぶん冷めていた。
いや、まだ酔ってはいたが妙に冷静な自分がいたのだ。
シンデレラと言う名のノンアルコールカクテルを飲み干す。
「酔ってない時に、デートしてよ」
「デート?」
「そう。デートしようよ。そうしたら俺の眼鏡も目も悪くないって解るだろ?」
彼女はキョトンとして大笑いをすると煙草を咥えた。
「あはは! 最高。素敵」
「バカにしてるのかよ。こう見えても本気だけど」
「バカになんかしてないわ、そんな風に直球で誘ってくる男なんてイマドキなかなかいないから」
「……直球?」
足を組み替えると煙草に火をつける。
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