第7話

俺と彼女は、ホテルの最上階のラウンジに上がった。


バーテンダーと顔見知りなのか二言三言話すと勝手知ったる様子で奥の個室に入って行った。



俺は挙動不審気味に彼女の後をついて部屋に入る。



「この部屋だけは煙草が吸えるのよ」


「あ。そうなんだ」



彼女がコールベルを鳴らすとすぐにドアが開いてウエイターが跪いた。



「私は、ジンバックで。彼にはセーフ・セックス・オン・ザ・ビーチで」


「かしこまりました」


「カクテル……あんま飲まないんだけど」


「ふふふ。ノンアルだから安心しなさいよ」



彼女は足を組んで深くソファに沈むと、シガレットケースから煙草を出した。



「勝手に吸って」



「あ。どうも」



リカはふふんと笑って言った。



「ユータロ。仕事、当ててあげようか」


「え。当たるかな」


「美容師」



そういいながら煙草を1本とって俺に咥えさせ、火をつけると自分も吸った。

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