第6話

「どう? これから、飲みに行かない?」


「え」


「私じゃ不服かしら?」



彼女は本当に古い映画から出てきたように耽美的で妖艶だった。



「水野よ。水野梨花」


「リカ……俺が勘違いしてた彼女はリカコだったよ」



 彼女は目を丸くしてアハハハと笑うとタバコのフィルターを噛むようにして言った。



「愉快じゃない? アンタは? 名前。まさか、あの男と同じユキオとか言わないわよね?」



そういいながらカメラに笑顔を向ける眼鏡の男を指さした。



「残念、惜しい! ユ。は同じだ……ユータロウ。臼井優太郎」


「うん、ゆ。だけが一緒ね……でもニアピンでもないわ。いい名前じゃない? ユータロ。行くよ」


「え? これから出るんじゃないの披露宴?」



リカは煙草を陶器のセンスのない灰皿に捨てると赤い唇を綺麗にあげて言った。



「もう、充分だわ」

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