第3話

「だぁ……気持ち悪ぃ」



 元々、そんなに酒が強い方ではないのに飲みすぎたことを後悔してホテルの中庭で休む。



 昼から始まった披露宴は終わり、金平糖を出口でもらって会場を出た。



二次会なんて行く気はないけど、まっすぐ帰るのもバカバカしい。



親に引き出物を持たせて「二次会に行く」と言って、とりあえず酔いを醒ましているという情けない状態だ。



 どこかで身投げをしようか?



電車に飛び込んだら、乗客の人や親にも迷惑がかかるし、泳ぎが得意だし入水自殺も無理そうだ。


『披露宴出席後に転落』


なんて新聞の隅に載るのもダサい。



 こんなことなら、慰めてくれる女の子の友達のひとりやふたり作って……いや、女友達はいるのだ。



 でも、本当に女友達で、誰かの彼女だったり、性の対象が違ったりするから今の俺が求めているようなものじゃないのだ。



「だって、やったじゃないか」


そう声に出てしまった。 


静かだけどヨーロピアンだか和風なんだかわからないような庭に誰もいなくて良かったと思いながら肩を落とす。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る