第7話

その電話を貰った時。




いや。




今もだ。


今も、私は信じられていない。





美代が、もういないという事を受け止められていないのでなく。信じられないのだ。




体の半分を切り取られたような衝撃を受けた。




しばらく、涙が出なかったんだ。






飄々とした彼女がいつものように笑って電話をかけてくるような気がしてならないし、いつもそこにいるような気がしてならないのだ。




こんな青い空の日だった。




前日もくだらない話をした。



彼の声がいいんだと、ノロケの様に言った美代は穏やかで静かだった。



もしかしたら


もしかしたら


私が気が付かなかった……私が解らなかっただけで


美代は


もう行こうとしていたのかも知れない。



いつもならそういう時は


私に嘆くのに、私に叫ぶのに、疎ましいほどに呟いて


呆れるほどに乱れるのに



どうしてあの日に限って


どうしてあの夜に限って



あんなにも穏やかで、あんなにも変らなかったのかと



私も彼も立ち尽くすことしかできなかった

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