第4話

美代の彼は、美代によく似ていた。




 破滅的で刹那的で、手を離したらどこかに飛んで行ってしまうヘリウム入りの風船のようにいつもユラユラとして飄々としていた。




儚げな彼に美代は惹かれた。



儚げな美代に彼は溺れた。




彼を語る時、美代は涙を流した。




自分の手のひらから零れて行く砂を必死にかき集めるように、彼の欠片をいつも探していた。




そして泣いて


そして笑って



そして



ゆっくり


とてもゆっくり



美代は壊れていったのかもしれない。

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