第19話
リカは少しムッとした。
「ともかくこの現実を受け入れるんだね。宝の地図がヒントだから、もう出会ったでしょ? 」
「松本さんの事?」
「うん、ヒロキはいいやつだよ」
「知ってるの?」
「知ってるよ」
「……帰って寝る」
「ふうん、そっか。またね、リカ?」
「……またって、あるのかしら」
「あるよ、きっとね」
重たいドアを開けて外に出ると見慣れたコンビニの前に立っていた。
慌てて振り返ったが、店はもうなかった。
「……」
コンビニでビールを一本だけ買い帰って、湯船に浸かると目を閉じた。
ヒロキの柔らかい笑顔や優しいから口調が思い出されて頬が熱くなった。
「いや、ないわ! ない! あの野田寛貴だよ、まぁ社交辞令的に連絡先を聞いてくれたという、うん、いい人」
自分に言い聞かせるようにして風呂を済ませるとビールを飲みながらテレビをつけた。
朝の天気予報を見る以外にテレビをつけたのは久しぶりだった。
「……野田寛貴」
テレビ画面には先程まで話していた、ヒロキが刑事役で出ている。
「ってか……アネモネ……私の名前知ってた……なんで?」
着信のメロディーが鳴る。
「わ!」
スマホの液晶に松本寛貴と名前が浮かぶ。
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