第18話
皆と別れて、家の近所までやってくると煌々と明るい店が目に飛び込む。
ネオン式の看板が、シジッと小さな音をたてた。
リカは迷うことなく店内に入った。
「やあ、来ると思ってた」
「どういうことなの?」
「どういうことって……前にも言ったけれど、必要だから現れたんだよ、アネモネの花はウインドフラワーって言っだろ?」
「……あの缶詰」
「気に入ってくれた?」
「あれ、何?」
アネモネはふふっと笑って頬杖をついた。
「リカが思ってるより、世の中なんてずっと不思議で出来てるんだよ、あの缶詰の中身は……そうだなぁこの世界と紙一枚で繋がってる世界とでも言っておこうか?」
「……」
「リカはトレジャータイプだったんだね」
「トレジャータイプ?」
「そう、メモは宝の地図みたいなものかな? それを信じるか信じないかで運命は変わる」
リカは首をふる。
「きっと、夢を見てるんだわ」
「認めなよ、現実だから」
「……」
アネモネはニコニコと笑う。
「……理解できない」
「頭で考えるからワケわかんなくなるんだよ。この世界とボクの世界は近くて遠い……でもちゃんとある、ボクらの仕事は修正する事なのさ」
「……修正って」
アネモネはコーヒーを注ぐとリカの前に出す。
「言ったろ? 選択肢で未来って変わる、でも出会ってもらわないと未来が変わって困ることもある、自力でその方向に行ける人はいいけどね……たまにいるんだよ、リカみたいなの」
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