第4話
「缶を開けたら解るよ」
「……開けたら、どっかーんとかないわよね」
「ハハ。悪趣味だね。面白いけどそれはないからご安心を」
飄飄とした口調のアネモネに拍子抜けをして立ち上る。
「コーヒー美味しかったわ。ごちそうさま」
「……そう、うん。それ」
「?」
「こちらの話」
ドアを出ると看板がジジジっと音を立てて消えた。
部屋に戻ると紙袋に入ったまま放り投げるように置かれた缶詰を取り出した。
開けないと後悔をすると頭のどこかで指令が出ている様だった。
缶を縦に横にと振ってコンコンと叩いてみるものの、音も反応もない。
「よし」
腕まくりをすると、プルトップに指をかけて勢いよく引き上げた。
ぷしゅ。っという何とも間の抜けた音がしてあっさり開いた。
「……?」
中には紙切れが一枚と500円玉が入っていた。
【御代ハ御返シ致シマス。コノ通リニ過ゴサレマスヤウニ】
① 図書館ヘ行キ、読ミタカッタ本ヲ借リマセウ
② 来週、御学友ノ御宅ノホウムパアテイヘ伺ウ前ニ行キツケノ店デランチヲシマセウ
と、書かれていた。
「……500円玉? 音しなかったのに。それに来週ホームパーティーがあるってなんで解ってるの? 怖!」
辺りを見回すも、変わった所のない自室で大きな溜息をつくしかなかった。
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