第9話
あれ?
なんだろうこれ、どこかで見た場面だ。
やっぱり、この人……ノゾムくんと私はどこかで会ってる気がする。
「あ、あの。ノゾムくん?」
「ん?」
「実はね……私も、ノゾムくんを見たときから……どっかで会ったことあるなぁって思ってるの」
「……」
「でも、思い出せなくて……本当にこの辺まできてるんだけどね」
そう言いながら喉の辺りを指差した。
「……熊の、前のベンチ座ろうか?」
「え、うん」
のんびりと歩き回ったり、立ち上がってみたりとさるツキノワグマを見ながらノゾムくんは言った。
「……マジで気持ち悪いと思うかも知れないけどさ、それでもいいから聞いて?」
「えっ? うん」
まさか、どこかでストーキングされてたとか? いや、それはない。そう言うことをするタイプではなさそうだし、隠れていてもこんなに大きな体じゃ隠れるのも無理だ。
ノゾムくんは少しだけ笑った。
「俺の夢に出てきた……と、思う」
「え、夢?」
「うん、すげえ小さい頃から見る夢があるあって。まぁその頃は熱を出したり、いつもと違う環境だと見てたんだ。でも、高校生ぐらいからかなぁ? わりと頻繁に見るようになって」
ノゾムくんの夢はこうだ。
中国とか韓国とかのドラマに出てくる宮殿みたいな所で、私とよく似た女の人が働いているのだと言う。忙しそうに、でも元気でいつもニコニコしている、そんな私と約束をしたというのだ。
戦が終わったら自分の田舎に行こうと、またね、と抱き合って戦に向かう。
城にもどると、炎に包まれて焼け落ちる柱の間でしゃがみこむ私を見つけて抱き締めた。
文字通り焼けるように熱くて、息ができない。
そこで夢は覚めるのだという。
全身に鳥肌がたった。
私の夢と酷似している。
高校の友達に夢の話をしたことはない。中学の友達のでも一人いたが、鮮明に話したことはないのだ。
彼がどこかで聞いてきて、それを私に話したとしたらそんな出来すぎだ話はない。
「……リナちゃん?」
「その、夢と似た夢……ううん、同じ夢、私も見るの」
彼は目が落ちるんじゃないかと言うくらい大きく見開いて私を見た。
「……同じ夢?」
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