第7話

この人、知ってる。



同じ学校の人だっけ? 違うな。



いつも行くコンビニの店員さん? それも違う……どこだっけ。すごく気に なる。



どこかで会っているのだ。



 喉のすぐそこまで来ているのに思い出せない、そんなモヤモヤした気持ち悪さでいると、その人がじっとわたしを見ていた。



ヤバイ、ジロジロ見てたの気を悪くしたかな。ってか、キモいって思われたかも知れない。



何ジロジロ見てるんだよ、なんて絡まれたら困る!



早く皆、来て! 



どうにもこうにもいたたまれない空気が流れる。



場所を移動しようにも待ち合わせはここだし、と小さなため息をつく。


「ごめんごめん! リナ!」


「待たせた?」


「あ。うん……少し」



駆けてきた二人を見てホッと息をつく、その後をイマドキ男子が歩いて来た。



「あ。この2人ね、一星大学の鈴木君と佐藤君」


「こんにちは!」



爽やかを絵にかいたような鈴木君だか佐藤君だかは言った。



2人と3人じゃ1人余るじゃない! 




私はまるでお邪魔虫だ。と、思いながら頭をぺこりと下げる。



「あ! いたいた。相葉!」


「?」


「現地集合のヤツ。相葉、このデカいヤツ」



さっきの大きな手の主は、とことことやって来てぺこぺこっと頭をさげた。



「よっちゃんと、さっちゃん。それから……」


「あ。リナです」



相葉という大きな彼はペコペコと頭下げてから、うーんと、首をひねった。



「……どっかで会ったこと……ある?」



ドクン。と、心臓から血液が吐き出される。


ビーカーの中で化学反応を起こした液体のようにコポコポと沸き上がる。


「相葉! どうした?」



天変地異でも起こったと言うように驚いた顔をして彼を見る。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る