3 昼と夜

第18話

「おはうございます!」


光に目を細めながら体を起こすと、水差しを新しい物に交換しながらリリーが言った。


「昨日、清拭に参ったらとても良く眠っていらしたので、起こさずに戻ってしまいました……お体拭けてませんが大丈夫ですか?」


「それは。すまないことをした。大丈夫だ」


「いいえ、ゆっくり眠れたのなら良かったですわ」


「いや、申し訳ない」


枕元に置いていた懐中時計を開くと、もうじき昼時を示そうとしている針がカチリと動く瞬間だった。


「……寝過ぎてしまった。すまない」


「何を仰ってるんですの? お怪我をなされて大変お疲れのようでしたし、当然ですわ。たくさん寝て、たくさん召しあがって、お元気になってくださいませね?」


可愛らしく首を傾げた仕草にドキリと心臓がはねた。



「もうすぐお昼ですから、お食事はこちらにお持ちしますわね、うちの給仕係の特製サンドイッチです。お口にあえばよいのですが」


品のいいネックレスがキラリと光った。


「……それから昨日申し上げたかも知れませんが、今日は父は往診で晩まで帰ってきませんの、帰宅したら晩御飯なのでお夕食はご一緒いかがかしら? 召し上がれまして?」


「ああ、ご一緒させて頂こう。……昼はリリー殿はもう済まされたのか?」


そう問いかけた俺にベッドの中でサムが言った。


「いいね、積極的じゃないか。ジェイはやれば出来る子なんだからさ、グイグイ行かなきゃね」


俺はサムをチラッと見て、体を起こしながらリリーを見つめた。

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