第8話
「やめろ、サム」
「ジェイ、赤いよ? 戦場では勇敢な騎士様も好みの女の前ではただの男だな」
「……やめろ」
「好みだろ? 金色のサラサラした髪に華美過ぎないドレス、おっとりとした喋り方」
「黙ってろ」
「ははは! 図星だな、助けられたのがこの家でラッキーだ! そういやこの前やった女は? どこが好みだったの? ああ、あれは性欲解消の為だったね、男って出すもの出さないとね」
「ほっといてくれ」
サムは豪快に笑って俺にもたれ掛かる。
いつだってサムはこうして傍にいる。
俺はそれでいいと思っていたし、この先もそうなのだろうと何の違和感もなく思っていたのだ。
ドアが軽快にノックされリリーがお茶を運んできた。
俺がベッドから降りて椅子に腰掛けると、さっとクッションが背もたれと体の間に挟まれた。
サムも踊るようにやってくると嬉しそうに腰掛ける。
「ずっと、寝ていらしたからこのほうがラクかと」
「すまない」
「へえ、気が利くぅ」と、サムはメモを取る真似をしながら言った。
趣味の良いティーポットから揃いのカップに品のいい香りのするお茶が注がれた。
「私がブレンドしたお茶ですの、どうぞ……おくちに合えば良いのですが」
彼女がそういうか早いかサムがお茶を覗き込んで大きく息を吸い込んだ。
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