第2話

「おまえは……平気なんだな」



「うん、ジェイが守ってくれたからね」



サムはそう言って俺の横に転がっるようにやってくると頬にキスをした。



「! ふざけるな……やめてくれ」


「あはは、ジェイはかわいいな、すぐにテレる」


「からかうな」


「ウブでもあるまいし」


「はぁ……それとこれは関係ないだろう?」


「あはははは! 男同士だもんな! ボクが女ならきっとピンポイントでジェイを快こばす事ができるよ、残念だったな」


そう言って下半身に触れた。


「やめろ! バカ野郎」


「あはははは!」



金色の髪をさらりとかきあげながらサムは笑った。


吸い込まれそうな翠色の瞳は宝石、華奢な指や肩は女のようで、無邪気な笑顔はまるで天使だ。


サムは俺にないものをすべて持っている。



夜の闇のように黒い瞳をした俺は、戦に行く時にプレートアーマーと呼ばれる甲冑をまとってクローズド・ヘルムという金属の被り物で頭も顔も覆う。


とても重たく暑い装具だ。


そんなものを着て動くせいか、体は筋肉で覆われて手は剣を握る為にマメで硬くなりゴツゴツと太い指が滑稽に見えた。



軍に入って戦に出るのにわずらわしくて髪はすっかり短くしてしまったし、美しさとは無縁ともいえるだろう。


軍人になる前はサムのように髪を伸ばして束ねていた事もあったが、瞳と同じに闇のように黒い太くて癖のある髪は美しいとは言い難かった。


束ねていても駄馬の尻尾のほうが綺麗だと思うくらいだったのだから俺には甲冑を着るために短く刈り込んだこの頭が似合いだろう。



そう……何から何までサムとは正反対だった。

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