第6話

自宅近くの路地に見覚えのない店がある事に気が付いた、吸い込まれるようにその明かりに足を寄せる。



看板も何もない店は小窓から覗くと洋品店か雑貨屋のようだった。


入り口の横の壁に


『貴方ノ欲シイモノ必ズ有〼』


と書かれた紙が貼ってあって風でパタパタと揺れていた。



「アナタの欲しいモノ必ずありますって……」


随分と自信にあふれた書き方だとルリは少し笑った。



冷たい金属の扉に手をかけるとギイっと音を立て、驚くほど軽く押されて入り口が開いた。


中から「いらっしゃい」とやる気のなさそうな声が聞こえる。


変な店に入ってしまったかしら? と、思いながら店内に進む。


まるで吸い込まれるように……と言ったところだ。




ちょっと中を見て目ぼしいものがなかったと言って出て行こう。そう考えて雑な陳列を眺めた。



 アンティークのカップや、ビンテージの洋服。ビールのネオン管。ゾウの置物。番傘に火鉢。百科事典。デジタル式の腕時計。



「ほんと、何でもありそうだわね」



統一感のまったくない商品を眺めて回った。

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