第4話
私はいつからこんな風になったんだろう。ただ、毎日を繰り返す。
月が海から生まれるように登って海に吸い込まれるように消えると、太陽が海から生まれて昇り海に侵食されるように沈む。
当たり前の毎日。
何が不服なわけでもないけれど、何も満たされていない。そんなモヤモヤとも違う、不可解なものに支配されたカラダは、いっつもバランスの悪い心をもて余しているようたった。
町はクリスマス一色。
バカみたいに、あちらこちらでサンタの格好をしたアルバイトがピザを運び、ケーキを売り、ティシュを配る。なんてシュールなんだろう。
「そういえば……何も買ってないや」
部活帰りに立ち寄ったコンビニで、色々な格好をするクマの小さなぬいぐるみのストラップが目にとまる。
「……」
サンタとトナカイの格好をしたクマはなんとなくわかるけれど、雪だるまの格好をしたクマは微妙だ。他にもサッカーや野球をしているクマもあった。
「チアはないんだ」
なんとなく呟いて野球クマと雪だるまとサンタの格好をしているクマをレジに出した。
レジを打つ店員も赤と白のサンタ服を着てやる気なく笑う。
本物のサンタクロースはどこにいるのだろう?
これから、ディナーにいくのか綺麗にしたているお姉さんや、楽しそうなカップル、ケーキの箱をかかえた家族連れを見ながら私は歩いた。
自分の家ではなく、そのままシュウの家に上がり込む。
「おかえりなさい」
「ただいまです」
「手を洗ってね、着替え洗濯してあるわよ?」
「はーい」
当たり前のようになされる会話をしながら、洗面所で着替える。
自分の家と変わらない部屋着に着替えて、何のおしゃれもないクリスマスがある。
「何か手伝うよ」
「あら? 本当? じゃあ、これ運んで。それから、シュウ起こしてきてくれる?」
「寝てるの?」
「部活今日は割りと早かったのよ、帰ってきてお風呂入って、部屋行ったから」
「ふうん、野球部ここんとこ朝早くから頑張ってるもんね……甲子園、いけるといいな」
「そうねー行けるといいわね」
「あ。これ。超つまんないものだけど」
冴子さんに雪だるまのクマを渡すと満面の笑みを浮かべた。
「かわいい! 女の子はいいわぁ、こういうの嬉しい! ありがとうね」
「あはは、そんな喜ぶ?」
冴子さんは鍵にクマをぶら下げた。
私は笑いながらテーブルにサラダとシェアディシュを置いてシュウの部屋にいった。
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