第4話

大事なのは見た目や性別、種族じゃない、確かな想い。


「あーん」


ぽと、と小さなかけらを私が手渡すと片口君は照れながら、と、届かねぇ……! と抗議してみせた。

「ふふふ。ごめんね、いじわるしてみた」


ゆっくり、舞い降りるように彼のもとにランチが届く。


「お、うまいな」


片口君がパクパクとそれを平らげているとマスターがやってきて彼に挨拶した。


「お味は、良さそうですね。なによりです♪」

 

 彼は、マスターとも仲良しだ。彼らが談笑するのをほほえましく眺めながら、私は自分の将来について考えていた。


片口君と、結婚することは、難しそうで、保険にも入れなさそうだ。

それに、彼はにぼしになる夢がある。


私は、いつまでも彼に甘えていられないよね。



 窓の外は、冷たい風がびゅうびゅう吹いていて、鈍い色の街灯が、中途半端に町に明かりをともしている。

まるで、今の自分みたいだ。

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