第26話
18P
久しぶりに携帯を落として液晶画面にヒビが入った。もうすぐ最後の組なのに!
花柄のワンピースを着た田山観世は半泣きになりながら、私の元へ来た。
私は、半壊した携帯に絶句したが、観世が落としたケイタイは、店用の携帯で0円で投げ売りされていたのを買ったものだった。ふぅと胸を撫で下ろす…まだキラシルンは茶会をしている最中で、ギターの音が微かに聴こえて来る。
「アドレス帳、大丈夫ですか~」
観世は椅子に座ると机に突っ伏す。軽く笑う私に観世は眉をあげた。
「電話しか使ってないし、アドレス帳は別途ノートがあるから、大丈夫だよ。」
「…私、どうしたらいいんですか?」
「茶道部の受付ってもう終わった?」
「はい。」
「サクラやれば、サクラ。」
「サクラですか~?」
「タダで飲み食い出来るから、座っておいて。」
観世は私に携帯(半壊気味)を預け、イベント会場まで戻った。宣伝をしたのにも関わらず、午前は30名しかお客様が来なかった…まだこういった経験が少ない私は、苛立つ気持ちを抑える為に、珈琲のモカを5杯も飲み干し正午を迎えた。宣伝のコストが(大半は半額だったけれど。)かかりすぎていた。明日の午後には落ち着くであろう店の事も、自分の事も。
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