第16話

p8


眠りそうにミミズの走っているノートの文字。

あっちゃー・・・やってしまった!

森田先生の授業は眠くって、後半、ミミズが出現したのだ。

沢田アンナ、もうじき高校一年。

まだ、卒業じゃないから、気を張って塾に通っている。

今は、図書館で眠っていたら、携帯が振動した。

操作していると、図書館員が「携帯禁止でーす。切って下さい。」などと、いってきやがる。化粧室で携帯を見ると、メール5件。

なんねえから。

いつ帰る?など。

もう、ちょっと、デートの最中に送ってきたらしい。

しゅうにい・・・呆れただろうな。

アンナは、とりすまして、元の席に戻り、中学英語の教科書を開いた。

「結構、夏っぽくなってきましたね。」

キラシルンの椅子に座ると、観世は息をついた。

今日は、夏服に身を包み、冷たいアールグレイを飲みにやってきたらしい。

観世いわく、キラシルンのアールグレイは美味しいし、クッキーとセットにしたら、良さそう、との評判。ケーキセットだと、このアールグレイに似合うケーキは、シフォンケーキか、ショートケーキ・・となる。

「みよの判子ハンカチも第一作がもう品切れ状態だから、第二作を作っておいてみようか。今度は何、彫りたい?」

アールグレイのカップのストローを、いじくっていた観世が、ぎゅいんと顔をあげて、「ハムがいい!ハムスター。小さい子に人気でしょ?」

そして、私は、観世にアールグレイのおかわり(観世は120円。)を作りながら、外のトラックをみやった。

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