かっちゃくねぇ

@keiba3150

第1話

かちゃっくちゃねぇ


「この曲、◯◯に似てるね!」

屈託のない笑顔で言われ、思わず手が出そうになる気持ちを抑える

『どこがやねん!全然ちゃうやろがい!』

と心の中の関西人がツッコミを入れる

ちなみに私は青森生まれ青森育ちの生粋の青森人だ


「え〜青森なんだ〜!すごぉ〜、美味しいりん送ってよ〜!実家もりんご農家??」

青森県民がみんなりんごに詳しいとでも?

ちなみに何が凄いのか今すぐ問いたい。

私も教えて欲しい

まだ見ぬ美味しいりんごを、青森の凄さを

ちなみにりんご農家だとは一言言ってない



「男ってさぁ──────。

九州の男とか最悪じゃない?でさぁ〜」

お前は地球上の全ての男に会ったことがあるのだろうか。

九州中の男性と会話したのだろうか。

『やかましわ!!』と叫びたい。



「ちょっと君たち、静かにしてもらえるかな」

突然の横槍が入り、目の前の獣が静かになる。

ちなみに私はうるさくしてない。

声の主を見ると、如何にも文学好きな女性、

イメージは「歴女」だろうか

堅物そうな銀縁のメガネが喫茶店の優しい照明の光を反射している。

手にはカバーの付いた文庫本があり、富士の彫刻がされた薄型の栞が挟まれている。


「何!?急に怖いんですけど!」

獣が臨戦態勢に入ったようだ

私にとって貴方が一番怖い

「声のボリュームが大き過ぎます。他のお客様がご利用されてる事を理解した上での…」

「あぁ〜!いるよねぇ〜!こういう人!!」

「私が『皆んなの代表』ですみたいなぁ〜、

声の大きい人ぉ〜!!」

すごい。ここまで来ると天晴れだ。

この獣のあわれな言動が見たくて未だに仲良くしている。反面教師として非常に役立つ存在なのだ。

「貴方の先ほど、『九州の男は男尊女卑が酷い。前戯が短いくせにすぐ終わる。』と言ってましたよね」

「なになになに!?聞き耳立ててたのぉ〜!

やだぁ〜!何この人〜!!!」


『合戦じゃあああ!!!

うおおおおおおおおおおお!!!!

歴女負けるなぁぁ!!!』

と喊声をあげたい。

どうやら私は歴女側を応援してるらしい。

店内にいるお客様たちも同じようだ。

さすがにポーカーフェイスの私でもニヤつきを抑えきれない。

さてどうなるか。


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