第6話 【プレイヤー:ショタのHP240→ー120】【プレイヤー:ショタ敗北】


  「そうかい」


 「痛覚ダメージを抑えたかったら」


 「いつでも言うといい」


 「うるせぇんだよ」

 「野良犬」


 「野良犬なんてのはな」

 「きゃんきゃんうるさいもんなんだよ」


 「どんな理屈だ」


 ユニットの野良犬が、首に噛みついてくる。



 !!!


 痛い!!!


 喉元を犬に嚙みちぎられたような痛みだ。


 だが、これがカードゲーム。


 これが闘技。


 異世界だとか前世だとか関係ねぇ。


 【プレイヤー:ショタに360のダメージ】


 【プレイヤー:ショタのHP600→240】


 「この程度で痛みで、痛覚ダメージ0にするとか」


 「きゃんきゃんうるせぇ事言ってたな、野良犬は」


 「その程度の痛みで済めばいいんだがな」


 「どうだ、今からでも痛覚ダメージを抑えてもいいぞ」


 「だから、きゃんきゃんうるせぇんだよ」


 「では、いくぞ」


 「怖かったらいつでも」


 「うるせぇってんだよ」


 「いっぴきの野良犬の再攻撃を詠唱する」


 !


 カード名からして名前の通り、再攻撃か。


 俺のHPは残り240。


 減少効果なしのそのままの再攻撃なら、俺のHPは0になる。



 「通す」


 妨害のしようがない。


 【ユニット:いっぴきの野良犬は再攻撃が可能になりました】


 【ユニット:いっぴきの野良犬の再攻撃】

 【プレイヤーへの直接攻撃】


 野良犬が、再び、喉元に牙を向ける。


 !!!


 喉元を噛みちぎられる。


 が、おかしい。


 先ほどのような痛みがない。


 「闘技は終わった」


 「システムよ、ショタへの痛覚ダメージを0にしろ」


 【プレイヤー:ショタの敗北が確定しました】


 【勝利者の権限により、敗北者への痛覚ダメージカットを承認しました】


 【プレイヤー:ショタのHP240→ー120】


 【プレイヤー:ショタ敗北】


 とことん、きゃんきゃんとうるさい野良犬だ。


 「そのゴミ箱に座られたまま」


 「眠りにつかれては困るんでな」


 「私の都合だよ」


 ああ、確かに。


 俺、まだゴミ箱に座ったままだ。


 俺は、闘技に負けたんだ。


 このゴミ箱からどかなきゃな。

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