第66話
自宅へと帰ってきた俺達は、寒さで縮こまった身体を解す為に入浴をしてから寛ぐことにした。
一緒に入りたいのはやまやまだけど、今回は別々に入った。
夕飯の支度をしたかったからだ。
今日は、冷蔵庫の残りで調理することに。
適当に野菜炒めかな。
昨日の餃子以外に少しだけ野菜を購入してきているのでそれでいいだろう。
味付けは…調味料だけはなんかいっぱい揃ってるんだよな。
これだけ色々あれば、手作りソースやドレッシングなんか簡単にできてしまう。
あー、ザワークラウトとかもいいな。
千切りキャベツに塩を入れて漬け込むだけ。
うむ、簡単だな。
そう言えば、缶詰も結構な種類があった。
ツナ缶と茹でモヤシを和えるのとかありかもな。
俺は、サクサクと夕飯の準備をした。
買い置きしてあったビーフジャーキーをポテトサラダに入れ、ザワークラウトとモヤシの和え物を作った。
ご飯は、炊いてあったものをそのまま使用した。
そうして、料理をしていると緋音がお風呂から上がってきた。
「慎くん、お待たせ。わぁ、美味しそう」
「手抜きでゴメンね」
「え?手抜き?そんなことないよ」
手抜き料理のはずなのにいいようだ。
それなら、作り甲斐がある。
その後、俺もお風呂へと向かった。
俺の入浴が終わるまでご飯は待っているそうだ。
烏の行水と言うわけではないが、あまり長い入浴にはせずに済ませてきた。
緋音が、お腹を空かせて待たせるのも可哀そうだから。
お風呂から出ると案の定ダイニングのテーブルを虚ろな目で見ながら涎を垂らした緋音がいた。
「えっと、お待たせ」
「ふぇ?慎くん…お帰りなさい」
虚ろと言うか放心状態だったようだ。
空腹で、据え膳状態。
あー、あれだ。
待てをされた子犬って感じだ。
緋音って、意外と子供っぽいとこあるからな。
「なんか、慎くん失礼なこと考えてない?」
なぜバレるし。
俺は、緋音から視線を逸らしてダイニングへ着席する。
すると、直ぐに彼女は隣の席に移ってくる。
折角対面に座ったのに。
結局、その後食べさせ合いをしながら夕食を食べるのだった。
多分、緋音としては自宅での食事は食べさえ合いをするのが当たり前になっているのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます