第34話
「はい、みんな。おはようございます」
緋音が、パソコンのモニターに向かって挨拶をしている。
ビデオ会議と言うやつだ。
毎朝、朝礼をこの形でやっているらしい。
ちなみに、俺も「慎くん用ね」と渡されたパソコンで
但し、カメラオフにして。
ビデオ会議の画面を見ているとふと気になったことがある。
男性が…1人もいない。
俺が、モニターを見ながら首を傾げていると隣から視線を感じた。
「えっと、みんなに紹介したい人がいます」
緋音から事前に聞かされていた合図だ。
俺は、カメラをオンにする。
マイクがオンになっているのも確認をする。
「本日からお世話になります。
萩岡 慎と申します。
若輩者ですが、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いします」
「慎く…おほん。萩岡さんには、私の専属秘書として働いてもらいます。
ちょうど、玖瑠美さんの穴を埋めてもらおうと思います。
あ、それと本日午後には『萩岡 緋音』になるのでみんなよろしくね」
ビデオ会議の画面上では、皆が驚愕しているのが見えた。
そして、一斉にマイクがオンになっていき緋音は質問攻めになっていく。
『社長、どういうことですか?』
『彼氏いたんですか?』
『ご結婚はいつ?』
『もしかして、急に2日もお休みしたのって』
なんか、聞き捨てならない話が聞こえたぞ。
2日休み?
あれ?緋音は出張だったんじゃ。
あれれ?おかしいぞ。
それにしても、女性ばかりだとここまで騒がしくなるのか。
「はいはい、質問はまたお昼の放送でします。
午前は、外出するので午後に決裁が必要なものは処理します。
じゃあ、今日も1日頑張りましょう」
緋音は、早々に話を切ってビデオ会議を終了させた。
俺も、飛び火を恐れて
さて、疑問をぶつけてみようか。
「慎くん、役所行きましょうか」
「あー、まあそうだね。道中でも話はできるからね」
緋音が、「あっ」と小さな声を漏らした。
俺が言いたいことは、大体わかっているのだろう。
それから、俺達は自宅に寄ってから会社を出て役所へと向かった。
役所までは、徒歩でも行けるほどの距離にある。
俺達は、並びながらゆっくり歩いていく。
緋音の身長が少しだけ高く感じる。
ああ、昨日と同じでヒールだからか。
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