第26話
「そう言えば20年も経つと色々変わったこと多い?」
「うーん、多いかも…20年前だとまだ市野にイオンもないよね?」
「イオン…あるの?」
市野ってそんな栄えていたっけ。
あの辺って大きい工場があっただけだった気がするんだけど。
「あ!昔いった浜松中央映画館は潰れちゃってザザだけになったよ」
浜松中央映画館。
ああ、ビオラ田町の前にあった映画館だったかな。
緋音とは、『もののけ姫』と『千と千尋の神隠し』を見に行った気がする。
2002年までは確か浜松にいたと思う。
「松菱の跡地は結局更地になっちゃったよ」
「えっ、更地なのか。あのデパートの屋上の遊園地よく行ったよな」
「うん、街に行ったらよく行ってたよね」
街中も随分変わったんだな。
「あ!変わったと言えばフォルテが無くなったんだよ」
「え!フォルテもう無いの!」
フォルテは、遠鉄百貨店の隣にあった大きな複合施設だった。
オフィスとアトリウム棟で為り、市民サービスと地下にはロックコンサート向けのホールがあった。
展示会とかセミナーとかをやってた記憶がある。
「じゃあ、アイス屋も今は…」
「うん、もうないよ」
結構好きなアイス屋だった。
街に行っては、よく食べていた記憶がある。
「あとは…ああ、志都呂のイオンとか村櫛のガーデンパークとか」
「花博だっけ?あったんだよね、ニュースで見た気がする」
「慎くんの浜松観光がいっぱいできそうだよね」
「確かに…バイク回収したらいろいろ行ってみようかな」
「バイクって、慎くんが昔乗ってたバイク?」
「そうそう、そのバイク。清明に預けていたんだけどまだ乗れるみたいでね」
高校時代に乗り回していた400ccのバイク。
実は、16の時に普通自動二輪の免許を取った。
だから、2年近く乗ったバイクだった。
中古車で元々買ったアメリカンタイプのバイク…Hondaのスティード400VLS。
2000年代にもいいバイクはあったが、東京だとなかなか乗る機会がなかった。
殆ど電車通勤だったし。
「長持ちだね。ねぇねぇ、慎くん」
緋音が少し悪戯に笑う。
ああ、何と無く分かった。
「少し慣れた頃ならいいよ、俺も久し振りだからしっかり乗れるか心配だし」
「うん、それでいいよ。えへへ、また慎くんとツーリング出来るんだね」
昔も、よく緋音を後ろに乗せて走ったものだ。
懐かしいな。
20年。
色んなものが変わってる。
でも、変わらないものもあるんだよな。
「あー、バイクの装備も揃えないとな。
流石にヘルメットやグローブなんかは買わないと」
「じゃあ、コストコの傍のナップスに行ってみる?
それとも有玉の2りんかん?」
「えーっと、どっちもどこそれ?タイチでいいけど」
「えっと、多分ね。タイチはもうないよ」
「篠ケ瀬のバッティングセンターの所だよね」
俺は、頷く。
篠ケ瀬のバッティングセンター懐かしいな。
「えっとね、バッティングセンターもないしタイチもなくなっちゃったよ」
20年…変わるものだと実感する。
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